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ペースメーカーと日常生活の注意点

ペースメーカーの植込み手術を終え、退院後1~2ヶ月が経過して植えこんだリードが安定すれば、
日常の活動事態に大きな制限はありません。しかし、いくつか注意点があります。

運動

手術後1~3ヶ月経過し、順調に体調が回復すれば、同年代の方がしているほとんどのスポーツができます。ただし、植込み位置に近い筋肉を長時間動かす運動や激しく身体がぶつかりあう運動は、ペースメーカー本体にダメージを与えたり、リードが移動したり損傷したりする原因となることがあります。医師に相談のうえ、どの程度の運動であればよいか、避けたほうがよいものなどを確認しましょう

入浴

入浴が直接ペースメーカーに影響を及ぼすことはありません。しかし、長時間熱い湯に入ることは脈拍を上昇させ、心臓に負担がかかるため、入浴時間は短め(10~20分程度)にとどめます。同様に、サウナ風呂も心臓の負担を考え、長時間は避けましょう。

なお、銭湯などの大衆浴場にある電気風呂(低周波電流が流れている風呂)は、ペースメーカーの動作に影響を与えるため、利用は避けて下さい。

旅行

ペースメーカー治療を受けている場合でも、旅行は自由にできます。自動車、電車、旅客機、客船など、乗り物に制限はありません。ただし、自動車を運転する場合には、急ブレーキをかけたときにシートベルトによる圧迫などでペースメーカーに強い力が加わる可能性があります。シートベルトによる強い圧迫に注意し、安全運転を心がけましょう。

また、旅客機に搭乗すること自体には問題はありませんが、空港保安検査でペースメーカーが金属探知機に反応することがあります。保安検査を受ける前に係員に心臓ペースメーカー手帳や証明書などを提示して、ペースメーカー治療を受けていることを説明してください。金属探知機以外の安全な方法(金属探知機よりもペースメーカーに与える影響が少ないボディスキャナーや接触検査など)で保安検査を受けることができます。
旅行会社のツアーに参加する場合には、事前に旅行会社に確認しておくと安心です。なお、心臓ペースメーカー手帳は、海外の空港での提示も有効です。

電気・通信機器や医療(治療)機器など

ペースメーカーは医療環境以外でも動作を続ける装置です。生活圏を飛び交うさまざまな電磁波による電磁干渉の影響を受けることで、動作に異常をきたす恐れがあります。その影響の程度は一概にはいえません。使用に際して不明な点がある場合は、担当の医師にご相談ください。

通信機器

スマートフォンや携帯電話、コードレス電話を使用、通話、携行する場合は、ペースメーカーの植込み部位から15cm以上離してください。十分な距離が取れないときは電源を切って携帯するようにしましょう。身体に異常を感じた場合、直ちに使用を中止して機器から離れて下さい。しばらく安静にしても身体の状態が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。

小型無線機(アマチュア無線機、パーソナル無線機、トランシーバー)が、ペースメーカーの動作に影響を及ぼす可能性が高いため、使用しないで下さい。

医療(治療)機器

MRI(磁気共鳴画像診断装置)やリハビリ科で使用する超短波装置など、医療機器には強力な電波、磁力を発生するものがあります。通常これらの場所には入室・使用の可否についての表示があります。また、医療機関の窓口でも情報をもらうことができますので、受診する際は相談の上、指示に従って下さい。

磁気治療器、医療用電気治療器など、体に通電したり、強い電磁波を発生する機器は使用しないで下さい。磁気マット、磁気ネックレスなどの磁気治療器を使用するときは、ペースメーカーの植込み部位の上に近づけないようにしましょう。身体に異常を感じた場合は使用を中止し、異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。

磁石

磁石または磁石を使用したものをペースメーカーの植込み部位の上に置いたり、胸ポケットに入れることは避けて下さい。磁気がペースメーカーの作動に影響を及ぼす恐れがあります。万が一、ペースメーカーに磁石を当ててしまった場合には、直ちに取り除いてください。ペースメーカーの作動は自動的に元に戻ります。もし身体の異常が回復しない場合には、直ちに医師の診察を受けて下さい。

全自動麻雀卓など

全自動麻雀卓など、使用中に常時強力な磁気を発生する機器での遊戯は避け、機器には近づかないようにして下さい。磁気がペースメーカーの作動に影響を及ぼし、失神などを起こす恐れがあります。身体に異常を感じた場合、直ちに使用を中止するか機器から離れて下さい。もし身体の異常が回復しない場合は、直ちに医師の診察を受けて下さい。

大型機器・施設の使用

発電施設、レーダー基地、各種溶接機、誘導型溶鉱炉などは強い電磁波がペースメーカーの作動に影響を及ぼし、場合によっては失神などを起こすことがあるため、絶対に近づかないで下さい。知らずにこれらの危機に近づき、身体に異常を感じた場合は、直ちにその場から離れて下さい。異常が回復しなければ、直ちに医師の診察を受けて下さい。

電子商品監視機器(EAS)

店舗や図書館に設置されている電子商品監視機器=EAS(盗難防止装置など)からの電磁気がペースメーカーに重大な影響を及ぼすことはないと考えられます。しかし、安全を重視して通るときには、中央付近を速やかに移動し、機器に寄りかかったり近づき過ぎないようにして下さい。またEASは分からないように設置されていることがありますので、出入り口では立ち止まらないことを心がけましょう。