SPECIAL医療の未来プロジェクト

現場から、未来をつくる。フタバ電子が考えた医療の未来のカタチ。

ICTソリューションプロジェクト

予防から在宅医療までを
システムでサポートし、
2025年問題に貢献する

地域密着、幅広い医療の提供。
フクダ電子が持つアセットを
最大限に活用して
迫り来る医療問題に立ち向かう。

  • S.Fシステムエンジニア

  • D.Sシステムエンジニア

少子高齢化による
医療負担の増加。
在宅医療で道を切り拓くべく、
医療機関の連携に挑む。

少子高齢化問題。人口減少に歯止めの効かない日本において、避けることのできない大きな社会課題の一つだ。そして、この問題は医療分野と切っても切り離せない関係にある。高齢者の増加に伴い、療養者も増加。一方で、社会保障を下支えする現役世代は減少を続け、医療費の逼迫を招いている。その希望の光となり得るのが、在宅医療。病床利用を減らすことで医療費の削減を目指す、その受け皿として在宅医療が注目を集めているのだ。しかし、円滑な在宅医療の提供には、医療機関同士の密な連携が必須。その架け橋になるべく、フクダ電子はクラウドを利用したシステムの開発に着手することを決めたのだった。

医療業界最大規模の
ネットワークを持つ
フクダ電子だからできた
現場の声を反映した
クラウドシステム。

私が担当している検査データ管理システム「f’no」は、検査データやヘルスケアデータを合わせてクラウド上に保存することで、検査データと日々のヘルスケアデータを同時管理、自然災害時のデータ損失防止のためのバックアップ、往診時に検査データの外部参照をサポートしているシステムです。また、他社製のクラウドシステムと連携することで、PHR※の閲覧や共有、自社の病院向けシステムと連携することで、病院と診療所間で検査データの共有ができるようになっています。 ※PHR…パーソナルヘルスレコードの略。個人の健康や医療、介護に関する情報を指す。

この「共有できる」という点が非常に重要な部分。従来の医療は基本的に病院単体で完結していました。しかし、少子高齢化に伴い、財源的にも人員の観点でも医療負担が大きくなり、在宅医療のニーズが高まってきています。その実現のためには、組織を超えたスムーズなデータ共有が必要不可欠なんです。

患者さまの情報を各組織や職種、また介護施設も含めた関係者全員が共有してはじめて、必要な対応を迅速に行うことができる。それをサポートするためにはクラウドシステムが必要だということで開発されたのが「f’no」です。

この開発では、フクダ電子の地域密着型の体制が大きく貢献したと思っています。私たちは、全国200拠点以上のサポート網を構築し、医療業界最大のネットワークで地域密着型の販売とサポートを行ってきました。その強みを活かして、各地の販売会社から現場の声を収集。どのような情報が求められているのか、どういう形であれば共有されやすいのか、リアルなニーズに基づいて開発を行っていきました。

細かく、地味にも思える
膨大な作業と検証。
その繰り返しでしか
命を守れない。

地域に根付いた販売会社にも助けられながら開発を進めたものの、やはり一筋縄ではいきませんでした。特に難しかったのが、システムを簡単に止めてはいけないという点。もちろん、医療に関わらずどんなシステムであれ、止まらないように設計すると思います。

ただ、医療を支えるシステムはその影響度が違う。システムが止まっている時間が患者さまの命を左右する可能性があるのです。そのため、不具合が起きてもシステムが完全に止まらないよう、クラウドに同期できなくても院内だけで運用が続けられる等、一部の機能が動かなくても他の機能は動くといった仕様を設計段階から作り込み、検証する必要があります。

命に関わるシステムということは、運用を止められないだけではなく、UIやUXへのこだわりが必要であることも意味します。誤った情報が表示されてはいけないことは当然として、言葉の表現や文字の大きさ、レイアウトにも気を配らなければ誤読を招き、医療過誤に繋がる。命を預かっている責任の重さを感じながら、細部に至るまで徹底的に確認を重ねました。

こう言っては語弊があるかもしれませんが、不具合がない仕事は不可能だと思うんです。このシステムには絶対に不具合がありませんとは、誰も証明ができない。いわゆる悪魔の証明です。でも、不具合があれば患者さまの命に関わるかもしれない。この矛盾に向き合うべく、どんな細かな仕様も丁寧に仕様書にまとめ、その手順通りに実装し、一つひとつチェックを行う。地味にも思えることを徹底することでしか、命は守れないんです。

データ共有の次は、
データの活用。
それは、幅広い医療を提供する
フクダ電子の使命。

関係者全員の努力の甲斐もあり、「f’no」は無事リリースされ、そのクラウド活用やリリースを受けて得た経験・知見を基に中小病院向けに開発された生理検査サポートシステム「f’eLsa」も今年6月にリリースすることができました。

私のメイン担当は「f’eLsa」の開発なのですが、患者さまの情報共有だけでなく、病院のオペレーション改善も意識した機能を追加実装しました。例えば、スケジュール管理システムや、オンラインの伝言板として活用できるホワイトボード機能等。中小病院をターゲットにして医療従事者の負担軽減を目指したからこその機能です。

D.Sさんの言うように、目指しているのはシステムのリリースではなく、医療負担の軽減や医療分野での情報共有。そのゴールに向けては、まだまだやるべきことがあると思っています。私が個人的に着手したいのは、個人向けのヘルスケア管理システムの開発。現在も他社の製商品と連携することでPHRの共有はできますが、直接PHRを記録・管理できるシステムはフクダ電子にはありません。自社製商品として開発しクラウドで繋ぐことで、病気になる前の予防から、病気になったときの治療、そしてその後の在宅・介護まで、さらにシームレスなデータの共有が可能となるのではと考えています。

私は検査データを解析し、診療補助等へのデータ活用に注力していきたいですね。クラウド上で共有されているデータは、直接的な本人の治療以外にも活用できるはず。個人情報であるため、セキュリティや許諾の取得を含め、取扱面でのハードルはあると思いますが、それを乗り越えてでも実現する価値があると思っています。特に、予防医療から在宅医療まで、そして検査から治療、経過観察・リハビリまでカバーしているフクダ電子なら、領域を超えたデータの連携でより大きな価値を生み出せる可能性がある。むしろ、フクダ電子がやらなければいけない。それくらいの使命感を持って、さらなるICTの活用で医療に貢献していきます。

OTHER CONTENTS