SPECIAL医療の未来プロジェクト

現場から、未来をつくる。フタバ電子が考えた医療の未来のカタチ。

フクダライフテック
災害対策プロジェクト

【フクダ電子の在宅医療事業を担う
フクダライフテック】
有事の際もスムーズな情報把握と共有を実現する
フクダレスキューウェブを通じて
被災地の安全と安心を守る。

どんな疾病でも、
どんな災害に見舞われても
安全・安心に医療を受けられる
環境を作る。
それが、フクダ電子としての使命。

  • N.K営業

  • Y.G営業

  • A.D管理

例え、どれだけ被害が大きく、
連絡手段が断たれようとも
医療は決して止めてはいけない、
止めさせない。

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、そして2018年の北海道胆振東部地震。日本では近年、大規模な地震が立て続いており、その被害も相当数に上る。また、日本を襲う自然災害は地震に限らない。2018年の西日本豪雨や2019年台風19号で受けた甚大な被害もまだ、記憶に新しい。こうした有事の際に最優先となるのが被災者の安全確保。特に在宅療養者に関しては、身の安全を確保するだけではなく、日頃から受けていた治療も変わらず提供しなければ、命に関わる。しかし、災害により連絡手段が分断されている中では、どこで、どんな療養者が、どんな治療を行っており、またその治療を継続できる状況にあるか把握することは困難を極める。そうした状況下でも、届けるべき人に治療を届けるために。被災者、そして医療への貢献を胸に、フクダ電子の挑戦がはじまっている。

きっかけは、
2011年の東日本大震災。
自社社員だけでなく、
被災地の医療をも守るために。

きっかけは、2011年に起きた東日本大震災でした。当社も東北地方に工場や販売会社があったため、被災した社員が数多くいました。しかし、メールアドレスや電話番号は登録していたものの、情報がデータベース化されていないため、安否確認もスムーズにはいかないような状況でした。これでは、万が一の時に、社員の状況を把握しきれない。そんな危機意識から、インターネットを介して各地の被害状況や安否情報を共有できるシステムを作ろうという動きが生まれました。それが、今の「フクダレスキューウェブ」です。

最初は、当社社員の安否確認向けのシステムとして立ち上がりましたが、開発を進める中で、在宅療養者も意識したサービスにできないかとの声が出てきました。被災地では、電話やメールが通じないことも多く、電源の確保すら一苦労。連絡を取るのも困難であり、医療施設の方々も担当している患者さんがどこにいるのか、どんな状況なのかわからず、治療したくてもできない。開発中のこのシステムは、そうした状況を改善するために役に立つのではないかと考えたのです。

有事における療養者対応への支援を考えれば、システムを開発するだけでは不十分。オペレーションを含めて、運用体制まで構築する必要がある。そこで、各部署から代表者を集めて社内の災害対策チームを構成。こうして、フクダレスキューウェブと災害対策チームという2本の柱で、有事の医療を支えるべく動き出したのです。

チームとシステムの力を
活用して、
大規模災害に対応。
国からも頼りにされるような
存在に。

私が災害対策チームに入って初めての大きな災害は2016年の熊本地震でした。その日は休日でしたが、本社の緊急連絡先の携帯が鳴るや否や会社に駆けつけ、現地の社員の安否確認や物資の買い出しに奔走しました。並行して、被災地の療養者も支援すべく、販売会社と協力して福岡に現地災害対策拠点を設置。フクダレスキューウェブを活用して、療養者情報を社内関係部門に共有。厚生労働省にも情報提供を行い、国としての対応の支援も行いました。その2年後に起きた、西日本豪雨災害や、北海道胆振東部地震でも、同様に療養者情報の共有を軸に医療継続の一助となるよう、支援を行いました。

北海道胆振東部地震は、私がチームに参加した初年のことなので、今も強く記憶に残っています。有事の際は、現地やその周りに対策拠点を設置することが多いのですが、北海道の販売会社や営業所が停電してしまったこともあり、本社に対策拠点を設置、こちらで療養者情報を集め、現地と共有を行いました。安否確認、酸素ボンベ要請等で寄せられる電話も一時、本社の対策拠点に集約し、一本化。通常、療養者対応の中心となる販売会社が被災した場合においても、我々本社側でも情報を把握、共有することができるフクダレスキューウェブの価値を改めて感じました。

全国を跨いで情報を集め、共有できるのは、やはりフクダレスキューウェブの強みだと思っています。その真価は、台風被災時にも発揮します。地震と違って台風は移動していくため、各地の被害状況が刻一刻と変化し続ける上、被災地の範囲も広大なものになります。そうした広範囲の療養者情報をネットワークで随時共有できる価値は非常に大きい。そうした価値や、これまでの取り組みが評価され、2019年台風19号の災害対応の際には厚生労働省から表彰していただきました。今では、大規模災害がある度に、公官庁から被災状況や療養者情報の確認の電話が入るまでになっています。

災害がなくならない以上、
この使命にも終わりはない。
医療への貢献を信条とする
フクダ電子の代表として。

災害に対応して終わりではなく、毎回課題の洗い出しを行っており、全国の災害対策担当者を集めた会議も定期的に実施しています。また、国だけでなく、各施設の皆さんにも取り組みを評価していただけているのか、最近では災害対策に関する講演会やプレゼンの場にお招きいただき、話をさせてもらう機会も増えてきました。どれだけシステムを進化させて体制を整えても、当社だけで災害に立ち向かうことはできません。地域の皆さんや医療施設との連携が必要不可欠。その意味でも、私たちが意識啓蒙と意見交換をしていくことには大きな意味があると思っているので、今後もさらに発信していければと考えています。

意識啓蒙および意見交換の他にも、取り組むべきことは多く残っています。例えば、市区町村との連携。フクダレスキューウェブで扱う療養者情報は個人情報にあたるため、災害対策基本法があるにせよ、その情報の取り扱いは非常に難しい。有事の際にどの情報をどこまで共有できるのかについて逐一検討していては、手遅れになりかねない。そこで、一部の地方自治体とは、災害時に迅速な情報共有が実施できるよう、自治体の管理、同意取得のもとで対応が可能にできるような災害支援に関する協定を締結しております。個人情報の取り扱い以外の部分でも、医療機器や酸素ボンベの支援などに関する協定を地方自治体と締結しておりますが、こうした協定を結べている市区町村はまだ数えられる程度。こうした動きを全国各地に広げていくのも私たちの使命だと思っています。

AIやIoTの活用を含む、自動化や効率化の推進も喫緊の課題です。フクダレスキューウェブで療養者情報の集約、共有はできるのですが、その情報をもとに本人へ状況確認をする際は、リストから人力で架電しています。大規模な災害では、そのリストは数千人規模になるため、効率化が求められる。AIにより療養者の重篤度や被害レベルをもとに架電の優先度を算出したり、状況確認の手段についても架電に代わる自動化された仕組みを構築するなど、さらに迅速に、多くの方に医療を届けるべく進化していかなければと思っています。災害がなくならない以上、私たちの使命にも終わりはありません。医療への貢献を何よりも大切に思うフクダ電子の代表として、在宅医療を支援する我々フクダライフテックは今後も精進し続けます。

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