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AEDコラム
2025.10.30

AEDの設置場所はどこがよい?設置が求められる施設や基準も解説

突然の心停止は、誰にでも起こり得る緊急事態です。救命率を高めるためには、AEDを迅速に使用できる環境づくりが重要です。厚生労働省は「心停止の発生頻度が高い場所」や「人目につきやすく救助が得られやすい場所」への設置を推奨しており、駅や空港、学校、スポーツジム、商業施設、介護施設などが代表的な例に挙げられます。

当記事では、AEDの設置基準や求められる主な施設、また効果的な設置場所などについて解説します。

 

1.厚生労働省によるAEDの設置基準

厚生労働省のガイドラインでは、AEDの設置は「心停止の発生頻度が高い場所」に重点を置くことが基本とされています。具体的には、2年に1件以上心停止が目撃される施設、または50歳以上の成人が250人以上、1日16時間以上常在する施設は設置が推奨されます。駅や空港、学校、競技場、大規模商業施設などが典型例です。

医療施設はもちろんのこと、公共性が高く人口密度が大きい場所や、高齢者の利用が多い介護施設や高齢者福祉施設も対象となります。スポーツや運動、強い精神的ストレスが加わる環境では発作リスクが高まるため、体育館やフィットネスクラブなどにも設置が推奨されます。

また、心停止の頻度が低くても「目撃されやすく救助が得られる環境」や「救急隊の到着に時間を要する地域」では積極的に配置することが望ましいとされています。海外の基準として、EUや米国では「5年に1件以上心停止が発生する場所」での設置が推奨されており、日本の基準と比べても国際的な傾向として共通しています。これらの基準は、突然の心停止に迅速に対応できる社会体制を整えることを目的としており、AED普及の重要な根拠となっています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2.AEDの設置が求められている主な施設

厚生労働省は、突然の心停止に迅速に対応できる体制を整えるため、駅や空港、学校、大規模商業施設など、人が多く集まり心停止リスクが高い場所へのAED設置を推奨しています。以下では代表的な施設ごとに解説します。

 

2-1.駅・空港

駅や空港は、不特定多数の人が集まりやすく、心停止が発生するリスクが高い場所です。特に都市部の鉄道駅は主要な移動手段であり、1日の平均乗降数が1万人を超える施設ではAED設置が強く推奨されています。混雑下でも迅速に救命処置を行うため、職員による訓練体制も不可欠です。

空港では長旅や疲労、時差などによるストレスで心臓発作が起こりやすいことが報告されており、欧米でも空港におけるAEDの有効性が示されています。そのため、日本においても駅や空港といった交通拠点には積極的な設置が求められています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2-2.スポーツジムおよびスポーツ関連施設

スポーツジムや競技施設は、運動強度の高い活動が行われるため心停止リスクが高い場所とされています。サッカーや水泳、マラソンなどでは心室細動の発生例が多く、また野球やサッカー、ラグビーなどの球技や格闘技では心臓震盪の報告もあります。これらは心停止を目撃されやすい環境でもあるため、AED設置に大きな意義があります。

また、ゴルフ場は利用者の年齢層が比較的高く、1施設あたりの心停止発生率も高いとされます。郊外に位置することが多く救急隊の到着が遅れる傾向にあるため、複数のAEDをコース内に設置することが望ましいとされています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2-3.大規模商業施設

デパートやスーパーマーケット、飲食店に加え、郊外型の大規模複合商業施設や規模の大きなドラッグストアなど、不特定多数の人が集まる商業施設ではAEDの設置が求められます。

特に、1日5,000人以上が利用する施設や、常時250人以上の成人が滞在するような場所では、複数台を計画的に配置することが望ましいとされています。こうした施設は年齢層も幅広く、高齢者や基礎疾患を持つ利用者も多いため、突発的な心停止に迅速に対応するための体制が必要です。また、動物園や温浴施設などの多数集客施設も対象に含まれ、設置の重要性が強調されています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2-4.観光施設や葬祭場・遊興施設

アミューズメントパークや動物園、海水浴場、スキー場、大規模入浴施設などの観光・娯楽施設は、多数の人が集まるため心停止リスクが高い場所とされています。

特に、屋外型施設では気温変化や体力消耗が心臓に負担をかけやすく、突発的な発作が起こる可能性があります。また、葬祭場も高齢者の参列が多いことから、救命対応の必要性が高い施設に含まれています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2-5.公共施設

市役所や公民館、市民会館などの規模の大きな公共施設は、不特定多数の利用者が集まる場であり、一定数の心停止事例が報告されています。そのため、AEDの配置と保守管理に配慮することが望まれます。

また、公共施設は地域住民への啓発や、AED設置の模範的な役割を担う点でも重要です。交番や消防署など人口密集地域にある公共施設は、規模や利用者数に関わらず地域の命を守る拠点とされ、AEDの設置が求められています。公共施設では、救命体制の普及と地域住民の安全確保の両面から設置の必要性が強調されています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2-6.高齢者向け介護・福祉施設

介護施設や高齢者向け福祉施設は、心停止が発生するリスクが高い場所とされています。特に50人以上の入居者がいる施設では、一定の頻度で心停止が確認されており、厚生労働省はAEDの設置を推奨しています。

救急隊が到着するまでの時間を考慮すると、施設内で迅速に対応できる体制づくりが不可欠です。また、AEDの設置は利用者本人だけでなく、面会に訪れる家族や地域住民の救命にもつながるため、社会的意義の高い取り組みと位置づけられています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

2-7.学校

学校は児童・生徒に加え、教職員や地域住民も利用する公共性の高い施設であり、心停止が一定の頻度で発生しています。日本では学校管理下での突然死の約3割が心臓突然死とされ、年間30~40件報告されています。特に体育の授業や部活動など運動中に発症するケースが多く、運動場やプール、体育館近くへの設置が重要です。

ほとんどの学校に少なくとも1台はAEDが設置されていますが、規模の大きな学校では複数台の配置が望まれます。また、地域に開放される夜間や休日にも使用できるよう配慮することが、救命体制の強化につながります。フクダ電子では「AED屋外型防水ボックス AEDBOX-OT 」や「AED温度管理ボックス AEDBOX-TC 」を用意しており、これらは24時間利用できる環境を整えることが可能です。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

「AED屋外型防水ボックス AEDBOX-OT」や「AED温度管理ボックス AEDBOX-TC」の詳細はこちら

 

2-8.会社・事業所

会社や工場、作業場などの事業所は、多くの社員が集まり働く場であり、心停止が発生するリスクが一定程度存在します。特に50歳以上の社員が250人以上勤務する職場では、厚生労働省の基準に基づきAEDの設置が望ましいとされています。事業所は年齢層が幅広く、生活習慣病や心疾患のリスクを抱える人も少なくありません。

さらに工場や作業現場では肉体的負荷やストレスが大きいことから、発作が起こる可能性が高いと考えられます。迅速に救命措置を行える体制を整えることは、社員の安全確保に直結するだけでなく、企業としての社会的責任を果たす上でも重要です。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

3.AEDはどこに設置すればよい?

AEDを導入する際は、「人目につきやすく、すぐ取りに行ける場所」に設置することが重要です。心停止から5分以内の電気ショックが救命率を大きく左右するため、エレベーターや階段付近、施設の出入り口といったアクセス性の高い場所が推奨されます。屋外に設置する場合は、「AED屋外型防水ボックス AEDBOX-OT」などの防雨仕様のボックスを用いて24時間利用可能な環境を整えることが望まれます。

また、設置場所を分かりやすく示す掲示や案内板を設け、誰もが迷わずたどり着けるようにすることも大切です。施設内の案内図やエレベーターの表示にAEDの位置を示すと効果的です。設置したAEDを「AEDマップ」に登録することで、来訪者や地域住民も場所を把握でき、緊急時の利用につながります。

調査によれば、公共施設で3分以内にAEDが使用された場合、社会復帰率は約40%に達する一方、1分遅れるごとに救命率は約7~10%低下します。そのため、学校や運動施設では保健室より体育館やグラウンド近くに、工場や事業所では作業現場に近い場所へと、心停止のリスクが高い場所を優先的に配置することが求められます。さらに、夜間も含め誰でも取り出せるようにすることが理想とされています。

出典:厚生労働省「AED の適正配置に関するガイドライン」

 

まとめ

AEDは、心停止から5分以内に使用することが救命率を上げる際に重要となるため、人目につきやすくアクセスしやすい場所への設置が求められます。厚生労働省は、駅や空港、学校、商業施設、介護施設など心停止リスクの高い施設での設置を推奨しています。さらに案内表示やAEDマップへの登録を行い、誰もが迅速に利用できる環境を整えることが社会全体の救命体制強化につながります。

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