開業支援コラム

クリニック・医院開業の失敗談に学ぶ!リスクを抑えるための対処法とは

クリニック・医院開業の失敗談に学ぶ!リスクを抑えるための対処法とは

理想の医療の提供や年収アップを求めてクリニックを開業したものの、いざ経営を始めると「患者さんが思うように集まらない」「資金繰りが苦しい」などの理由から、失敗してしまう場合があります。

クリニックの開業で失敗してしまう理由はいくつか考えられますが、失敗のパターンがあるのは確かです。

そこでこの記事では、よくある開業の失敗談や、失敗してしまいがちな方の特徴を紹介します。また、リスクを抑えて成功率を高めるためのポイントや、失敗を防ぐための準備についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

クリニック・医院開業で失敗(廃業)する確率は?

帝国データバンクの「医療機関の倒産動向調査」によると、2025年上半期(1‐6月)の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は35件となり、過去最多を記録した2024年の同期間(34件)を上回る結果となりました。

内訳を見ると、「病院」が9件、「診療所」が12件、「歯科医院」が14件となっており、特に病院と歯科医院は過去最多ペースで推移しています。

一般的に医業は「安定している」「倒産しにくい」と言われてきましたが、今や開業すれば安泰というわけではありません。しっかりとした経営戦略を持たなければ、誰もが廃業のリスクに直面する可能性があるのです。

勤務医と開業医の違い|経営者としての責任がリスク要因

臨床医として優秀だからといって、必ずしもクリニック経営が成功するわけではありません。

勤務医と開業医では、求められる役割や責任の範疇が全く異なるからです。この違いを認識せず、勤務医時代の感覚のままで開業してしまうことこそが、経営における最大のリスク要因となります。

求められるスキルの変化

勤務医時代は、患者さんを治す診療技術や、学会での研究成果が評価基準だったかもしれません。

しかし、開業医になると高い診療技術はあくまで前提条件となり、その上に経営や人事労務、マーケティング、財務管理といったマネジメントスキルが積み重なります。「腕さえ良ければ経営はなんとかなる」という考えは、開業においては通用しません。

収入構造の変化

勤務医の収入は、病院から支払われる「給与」であり、患者数の増減に関わらず毎月安定した額が振り込まれます。

一方、開業医の収入は、売上から経費を差し引いた「事業所得」となります。独立後は、家賃やスタッフの給与、業者への支払いなど、毎月発生する固定費の支払い義務が自分に降りかかります。

患者が来なければ売上はゼロになり、赤字の場合は自分の貯金を切り崩して補填しなければなりません。

組織における立場の変化

勤務医でいれば、困った時に相談できる上司や同僚がいます。しかし、開業医はクリニックの最終責任者であり、基本的にはすべての決断を一人で下さなければなりません。

給与の支払いはもちろん、労働環境の整備や人間関係の調整など、雇用主としての責務は重大です。

クリニック・医院開業でよくある失敗ケース7選

クリニック・医院開業でよくある失敗ケース7選

ここからは、クリニック・医院開業でよくある失敗ケースを紹介します。これらは決して他人事ではなく、準備不足であれば誰にでも起こり得ます。

失敗ケース1:立地や物件選びで妥協してしまった

物件を探す際、「家賃が安いから」「自宅から近いから」という理由だけで安易に決めてしまい、失敗したケースです。

ある医師は、初期費用を抑えるために、駅前の目立つ物件ではなく、一本路地に入ったビルの2階を選びました。「腕さえ良ければ患者さんは来てくれる」と考えていましたが、現実は甘くありませんでした。

看板を出せるスペースが限られていたため、地域の住民ですら「ここにクリニックがあること」に気づいていなかったのです。認知度を高めるために、予定外の広告費を毎月投入することになり、結果的に家賃の高い駅前物件を借りる以上のコストがかかってしまいました。

立地は一度決めてしまうと簡単には変更できないため、経営の致命傷になりかねません。

失敗ケース2:激務の合間の準備でタスクがパンクし、開業日が想定以上に後ろ倒しになった

勤務医としての激務をこなしながら、週末だけで開業の準備を進めようとして失敗したケースです。

ある循環器内科の医師は、病院での仕事をこなしながら準備を進めていました。しかし、内装業者との打ち合わせや医師会への挨拶、スタッフの面接などが重なり、メールの返信一つにも数日の遅れが出るようになりました。

その結果、保健所への事前相談の予約が取れず、内装工事の着工も遅延。本来、花粉症や健診で集患しやすい春の開業を目指していましたが、実際にオープンできたのは患者数が落ち込む夏場でした。その数ヶ月間も家賃などの固定費は発生し続け、開業前から数百万円単位の無駄な出費を強いられることになりました。

失敗ケース3:当初の資金計画が甘く、運転資金が足りなかった

「理想のクリニックを作りたい」という思いが強く、内装や最新の医療機器に初期投資をかけすぎてしまったケースです。

ホテルのような居心地の良い空間を目指したある医師は、待合室のソファや照明に海外ブランドの高級品を採用し、医療機器も大学病院並みのハイスペックなものを導入しました。

しかし、開業直後は知名度が低く、患者数が1日数人という日が続きます。本来残しておくべき運転資金まで内装費に回してしまっていたため、開業3ヶ月目で預金残高が底をつきかけました。

結果、追加融資に奔走することになり、診療中も資金繰りのことで頭がいっぱいで、精神的に追い詰められる日々を過ごすことになってしまいました。

失敗ケース4:スタッフの定着率が悪く、人間関係の構築に失敗した

「給与や待遇さえ良ければ人は定着する」と考えていたが、うまくいかなかったケースです。

相場より高い給与で募集をかけ、優秀な経験者を集めたあるクリニック。しかし院長は「指示通り動いてくれればいい」というスタンスで、スタッフとのコミュニケーションを軽視していました。

ある繁忙期、院長がスタッフのミスを患者の目の前で叱責したことが決定打となり、オープニングスタッフ5名のうち3名が「院長にはついていけない」と一斉退職。残されたスタッフへの負担は限界を超え、クリニックの雰囲気は最悪に。

その様子は患者さんにも伝わり、「あのクリニックはいつもピリピリしている」という悪い口コミが地域に広がってしまいました。

人間関係のトラブルや不満が蓄積し、オープニングスタッフが次々と離職。採用コストがかさむだけでなく、地域の評判も落としてしまう結果となりました。

失敗ケース5:開院すれば患者は来ると思い込み、集患対策を怠った

「自分の腕には自信があるから、看板さえ出せば患者は来るはず」と考え、マーケティングを軽視したケースです。

Webに詳しくなかったある医師は、ホームページを自作の簡易的なものだけで済ませ、Web予約システムも導入しませんでした。しかし、ターゲットとしていた子育て世代の親御さんたちは、「スマホで予約できるか」「待ち時間がわかるか」を基準にクリニックを選んでいました。

少し離れた場所にあるWeb予約完備・ホームページが充実した競合クリニックに患者が流れてしまい、こちらの待合室は閑古鳥が鳴く状態に。開業して半年が経ってから慌てて業者に依頼しましたが、初動の遅れを取り戻すには長い時間を要しました。

失敗ケース6:自分のやりたい医療と、地域のニーズが合っていなかった

専門性を高めることは重要ですが、地域の需要と合致していなければ経営は成り立ちません。自分のやりたいことと、地域が求めていることのバランスを見誤った失敗例です。

大学病院で高度な専門治療に従事していた外科医が、住宅街で開業したときの話です。院長は専門性の高い日帰り手術を売りにしましたが、その地域住民が求めていたのは風邪や高血圧、予防接種など、何でも気軽に相談できるかかりつけ医でした。

院長が「それは専門外だから」と一般内科の患者を断り続けた結果、「あそこの先生は敷居が高い」「風邪くらいでは診てくれない」という評判が定着。専門的な手術を希望する患者もそう多くはなく、経営難に陥ってしまいました。

失敗ケース7:勤務医のほうが働きやすかったと感じてしまった

開業後の経営難や人間関係のストレス、休みのない日々に疲れ果て、「勤務医のほうが精神的に楽だった」「もっと働きやすかった」と感じてしまうケースです。

「自分のペースで、患者一人ひとりと丁寧に向き合う診療がしたい」——そんな思いから開業を決意したある医師。
しかし、いざクリニックを立ち上げてみると、診療時間が終わっても一息つく暇はありませんでした。
診療後には山積みのレセプトチェックが待ち、スタッフの急な欠勤に対応するためシフトを組み直す日もあります。経理や税務の確認のために税理士との打ち合わせが入り、医療機器や備品の手配、業者対応にも追われる毎日。

「診療に集中するための開業だったはずなのに、気が付けば経営と雑務に時間を取られている」 理想として描いていた“自分のペースの診療”と、現実の開業医の日常との間に、大きなギャップを感じ始めていました。

勤務医時代は事務員がやってくれていた業務もある程度自分で担う覚悟が必要です。

ただし、全て院長一人で抱え込もうとはせずに、信頼できるスタッフや外部の協力業者などと協力し、チームとして経営していく事も大切です。

クリニック・医院開業で失敗してしまいがちな人の特徴5つ

ここでは、失敗する医師に共通する5つの特徴を紹介します。

1.事前の情報収集(診療圏調査・競合調査)が足りていない

失敗してしまう医師は、客観的なデータよりも自分の感覚や他人の意見を優先してしまう傾向があります。

日々の診療が忙しいことを理由に、「不動産屋が良いと言うから大丈夫だろう」「この辺りは人通りが多いから流行るはずだ」と、根拠のない楽観視でリサーチを怠ってしまいがちです。経営の根幹に関わる診療圏調査や競合調査を他力本願で済ませてしまうため、開業後に地域のニーズとのズレに気づくことになります。

2.十分な資金準備が整う前に見切り発車で退職・開業する

十分な自己資金や融資の目処が立たないまま、勢いで退職・開業へと進むのも、クリニック開業で失敗する人の特徴です。

自己資金や融資の目処が立っていない段階でも、「早く開業したい」という気持ちが先行して退職を決めてしまうのです。

資金計画がどんぶり勘定のまま進むため、開業準備中に想定外の出費で資金ショートしやすく、焦りから立地や内装を安易に妥協してしまうという悪循環に陥りやすくなります。

3.院長になること自体を目的にしてしまう

失敗する医師の多くは、開業することがゴールになっており、その先のビジョンが欠落しているという特徴があります。

開業はあくまでスタートであり、経営は20年、30年と続きます。しかし、このタイプの医師は「どんな医療で地域に貢献したいか」という目的意識が薄いため、いざ経営が始まって集患や資金繰りの壁にぶつかると、「こんなはずではなかった」と簡単に方向性を見失ってしまうのです。

4.今の職場から逃げたいというネガティブな理由で開業する

開業を現状からの逃避手段として捉えており、経営者として困難に立ち向かう覚悟が定まっていないのも、失敗する人の特徴です。

激務や医局人事への不満がきっかけであること自体は問題ありません。しかし、失敗する人は「開業さえすれば楽になれる」という幻想を抱きがちです。

経営者になれば勤務医時代とは異なる重圧がのしかかりますが、逃避思考で開業した人はそのストレスに耐えきれず、トラブルが起きた際に心が折れやすい傾向にあります。

5.物件や内装、スタッフ採用で条件を妥協してしまう

失敗する医師は、「何のために開業するのか」という判断軸が曖昧で、目先のコストや手軽さに流されやすい傾向があります。

本来、自分の理想とする医療を実現するためには「譲れない条件」があるはずです。しかし軸が定まっていないため、「家賃が安いから」と不便な立地を選んだり、「人件費を抑えたいから」と未経験者ばかりを採用したりと、必要な投資と無駄な出費の区別がつかなくなってしまいます。その結果、誰からも選ばれない中途半端なクリニックを作ってしまうのです。

クリニック・医院開業のリスクを抑え、成功率を高めるための4つのポイント

クリニック・医院開業のリスクを抑え、成功率を高めるための4つのポイント

失敗のリスクを抑え、理想のクリニックを実現するためには、適切な手順と準備が必要です。以下、開業における各段階で意識すべきポイントを4つ紹介します。

【ポイント1】診療コンセプトの明確化と徹底した診療圏調査

「どんな患者さんに、どのような医療を提供したいか」というクリニックの軸を固めることが最優先です。ここがブレると、立地選定や内装などの判断基準が定まりません。

しかし、想いだけでは経営は成り立ちません。コンセプトが地域のニーズと合致しているか、徹底した診療圏調査で客観的に検証し、勝算のある立地を見極めることも重要です。

【ポイント2】綿密な収支シミュレーション

収支シミュレーションは、開業の可否を判断する重要な材料です。「自分のやりたい医療は採算が取れるのか」を冷静に見極める必要があります。

最悪のケースでも耐えられるだけの運転資金を確保できて初めて、開業へと踏み切ることができます。どんぶり勘定での見切り発車を防ぐため、経営者として数字への感度を高めておきましょう。

【ポイント3】適切な医療機器選定と動線確保

医療機器や内装は、診療スタイルに合っているかが重要です。目指す医療に必要なスペックかどうかを見極め、過剰投資にならないよう注意しましょう。

同様に、動線確保も働きやすさを左右する要素です。スタッフと患者さんが交錯しないか、緊急時の対応はスムーズかなど、開業後のリアルな運用を具体的にイメージして確認することで、開業後の後悔を防ぐことができます。

【ポイント4】信頼できる開業支援パートナーとの連携

開業での失敗を避けるには、開業支援パートナーの活用が有用です。物件探し、資金調達、機器選定など、膨大なタスクを一人で抱え込むのは現実的ではありません。

信頼できるパートナーがいれば、先生の理念にマッチした物件の紹介や、融資審査に通る事業計画書の作成支援などが受けられます。プロの知見を活用することでリスクを最小限に抑え、開業の成功率を高めることができるでしょう。

クリニック・医院開業の失敗を防ぐためには「フクダ電子」の開業支援がおすすめ

クリニック開業での失敗を防ぐには、信頼できるパートナー選びが何よりも重要です。開業は先生一人で行うものではなく、コンサルタント、税理士、メーカー担当者など、パートナーの質が成功を左右すると言っても過言ではありません。

開業のリスクを最小限に抑えるためには、フクダ電子の開業支援サービスの活用がおすすめです。私たちは単なる機器販売にとどまらず、医療機器メーカーならではの専門的な視点で、診療効率を最大化する動線設計や、過剰投資を防ぐ機器選定をご提案します。

また、全国の膨大な開業データに基づく診療圏調査により、根拠のある立地選定をサポートできるのも強みです。「開業したいが何から始めればいいかわからない」「失敗しないための戦略を練りたい」という先生は、構想段階からトータルサポートを行うフクダ電子へお任せください。

まとめ

明確な経営ビジョンや事前の準備が不足していると、クリニック開業は失敗してしまう恐れがあります。リスクを回避し、安定した経営を実現するためには、医師としての視点だけでなく、経営者としての意識を持ち、計画的に準備を進める必要があります。

また、正しい情報を収集し、診療圏調査などで立地のポテンシャルを客観的に見極めることで、理想のクリニックを開業できる可能性は高まります。初めての開業で不安なことが多い方、何から始めるべきか迷っている方は、医療機器メーカーとして豊富な開業支援実績を持つフクダ電子へお気軽にご相談ください。

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