ASV療法について

ASV

慢性心不全の患者さんは、夜間睡眠中に呼吸が止まったり、逆に呼吸が速くなる等、呼吸が乱れること(睡眠呼吸障害:SDB)が少なくありません。
結果的に酸素不足となり、それが毎晩続くと、心臓の負担が増え、心臓の機能を悪化させる場合があり、眠りも浅くなります。
そして、慢性心不全の患者さんの50%から70%の方々が、このような症状を持っていると言われています。 ASVはこのような呼吸困難感や息切れを改善するマスク式人工呼吸器です

ASVによる治療効果

このASV装置は、睡眠時にマスクを装着して使用する事により、呼吸を補助し、乱れた呼吸を整え、酸素不足を解消します。

【ASV治療イメージ】

ASV導入の流れ

【参考】ASVに関するステートメントおよびガイドラインにおける記載

ASVに関しては、臨床試験「SERVE-HF」の結果を受けて、日本循環器学会及び日本心不全学会よりステートメントが発表されております。
また、2017年改訂の急性・慢性心不全診療ガイドラインでは、心不全入院患者へのうっ血およびCSR-CSA合併心不全患者に関してのASV療法の有効性について記載されております。

心不全症例における ASV 適正使用に関するステートメント(第2報)
(2016年10月19日一般社団法人日本循環器学会・一般社団法人日本心不全学会)

01
中枢型優位の睡眠時無呼吸を伴い安定状態にある左室収縮機能低下
(左室駆出率≦45%)の心不全患者に対するASV
  • ASVの導入・継続は禁忌ではないが、慎重に実施する。
  • CPAPでは改善が不十分な場合や忍容性がない場合にASV導入を考慮することが望ましい。
  • ASV継続中も、経過によってはCPAPの変更を考慮する
  • 対象患者及びその家族に国内外のガイドラインや小規模臨床試験の結果、行政機関による使用規制の状況を説明し同意を得たうえでの導入・継続が必須。
02
①に該当しないが、睡眠時無呼吸を有する心不全患者に対するASV
(閉塞型優位の睡眠時無呼吸を伴う心不全患者 、睡眠時無呼吸を有すLVEF>45%など、左室収 縮能の保持された心不全患者)
  • ASVの導入・継続を制限する理由はないが、安全性を考慮して、導入・継続後の経過を慎重に観察する必要がある。
  • 導入の際はCPAPで治療可能か検討した上で、必要症例に限ってASVを導入することが望ましい。
03
睡眠時無呼吸の有無と関係なく高度のうっ血に対してASVが奏功した心不全患者に対するASV
  • ASVの中止により心不全の悪化が予想される患者では継続使用が可能。
  • 経過中、臨床的に心不全が安定化、もしくは、ASV導入後6ヶ月経過時点で必ずASVからの離脱やASV以外への治療へ変更可能か再検討する。

詳細はこちらから

https://www.jhfs.or.jp/statement-guideline/files/statement20161024.pdf (日本心不全学会ホームページ)

https://www.j-circ.or.jp/information/ASV_tekiseiriyou_rep2.pdf (日本循環器学会ホームページ)

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)における記載

表 31 心不全における ASV の推奨とエビデンスレベル

推奨クラス エビデンス
レベル
Minds推奨
グレード
Mindsエビ
デンス分類
ガイドラインに基づく心不全治療の最適化が行われている心不全入院患者に対するうっ血に基づく症状軽減を目的としたASV Ⅱa B B
上記の患者で ASVが有効であり,それを中止することにより再度症状が悪化することが予想される場合のASVの継続 Ⅱa C B
心不全の改善後も必要性を再検討することなしにASVを継続使用 C C1

表 46 CSR-CSA 合併心不全患者に対する治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラス エビデンス
レベル
Minds推奨
グレード
Mindsエビ
デンス分類
心不全ガイドラインに準拠した心不全治療自体の最適化 A A
CPAP療法
中等度以上の CSR-CSAを合併する心不全患者に対して自覚症状,運動耐容能,左心機能改善を目的
Ⅱa B B
ASV療法
中等度以上の CSR-CSAを合併する心不全患者のうち CPAPに忍容性のない,あるいは CPAPが無効のHFpEF患者に対して自覚症状,運動耐容能改善を目的
Ⅱa B B
ASV療法
中等度以上の CSR-CSAを合併する心不全患者のうち CPAPに忍容性のない,あるいは CPAPが無効のHFrEF患 者(LVEF≦45%)に対して自覚症状,運動耐容能,左心機能改善を目的
Ⅱb B B
漫然としたASV療法の継続
CSR-CSA を合併するHFrEF患 者(LVEF≦45%)に対して心不全の改善または安定化後もCSR-CSAの治療を目的
A C1

詳細はこちらから

https://www.j-circ.or.jp/information/ASV_tekiseiriyou_rep2.pdf  (日本循環器学会ホームページ)

診療報酬について

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1:2,250点

以下の全ての基準に該当する患者を対象とする。

ア     慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されているもの
イ     CPAP療法を実施したにもかかわらず、無呼吸低呼吸指数が15以下にならない者に対してASV療法を実施したもの
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2:250点

以下のいずれかに該当する患者を対象とする。

ア     慢性心不全患者のうち、医師の診断によりNYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されているもので、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1の対象患者以外にASV療法を実施した場合
イ     心不全である者のうち、日本循環器学会・日本心不全学会によるASV適正使用に関するステートメントに留意した上で、ASV療法を継続せざるを得ない場合
C165 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算(3月に3回)3,750点
1 ASVを使用した場合
C171-2 在宅持続陽圧呼吸療法材料加算(3月に3回)100点

(参考:令和6年3月5日保医発0305第9号)



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