むすび在宅クリニック京都
2025年10月開業
京都府京都市
- 内科
- 緩和ケア内科
記事更新日:2008.12
院長 武知 由佳子 氏
勤務医時代、救急から慢性期、在宅・訪問診療までの継続した呼吸ケアを行っていました。病棟では多くの急性期患者様の主治医をしながら、週に1回の訪問診療もしていました。
そんな中、呼吸器疾患の在宅患者様が、急性増悪を起こせば、週に1回の訪問診療だけでは入院になってしまうこともあり、一旦入院すると病状が更に悪化、長期の入院につながる場合もありました。
呼吸機能や、ADLのレベルを落とさないためにも、専門的でしっかりとした在宅ケアが不可欠で、もっと頻回に訪問診療し、手厚いケアが必要だと感じていました。
そうすることで、急性増悪や長期入院も回避でき、呼吸器疾患の患者様の生存率やQOLを上げることができるとの確信がありました。
また、私は地域の一開業医としてだけではなく、クリスチャンとしてもその地域にしっかりと根を下ろし、地域の皆様の健康に寄与し、責任を持って支え・仕えていくことができるのではないかと考え開業を決意しました。
1999年頃から共に開業するスタッフたち(看護師3名)と開業について話し始め、具体的に開業コンサルタントに相談し始めたのは2006年4月頃です。
勤続しながら、開業準備をするのはとても大変でした。だからと言って、自分たちのクリニックなのに、コンサルタント会社に全部丸投げしてお願する(高額なコンサルタント料金がかかる)のもどうかと考えました。
具体的には、数社の実績ある開業コンサルタントに面会し、各社の支援内容をお伺いし、自分達にあうコンサルタントを探しました。
その頃ちょうどフクダ電子の開業支援を知り、無料での開業支援、過去30年の中での多くの実績、支援内容等を聞き、信頼できる内容と感じ、フクダ電子にお願いする事を決めました。
それからは、一からいろいろと教えていただき、月1~4回の定期的なスタッフミーティングを開催しながら進めていきました。
実務的な面だけでなく、精神的にも支えていただきました。感謝です。
もちろん医療機器においても専門家の立場からアドバイスいただき、心電計や自動血球計数CRP測定装置、在宅酸素、在宅人工呼吸器等を使用し、開業後も地域担当者からフォローしていただいています。
元々、私は開業医の娘ではないので、本当にお金がなくて、大変でした。
開業前、海外で呼吸医療の現場視察を行った費用や、不況下にて両親の経営する事業の援助なども重なり、とにかく開業資金がなかなか捻出できない中での開業でした。
また通常は診療圏調査をして、結果の良い開業好立地にて開業するというパターンが一般的ですが、私たちの場合は開業場所が既に決まっており、周りには競合施設が多く、残念ながら開業好立地とはいえない場所でした。
このように開業資金が無く、初めて多額な借り入れをし、一般的には開業好立地といえない場所での開業は、非常に不利で最悪の状況と思われました。
精神的なストレスは尋常ではありませんでしたが、「在宅医療」への積極的な取組みと、「在宅呼吸ケア」「在宅ホスピス」という自分のスキルを信じての開業でした。
その結果、在宅医療への地域ニーズは非常に高く、開業2ヵ月目で、軌道に乗ってしまうほどでした。24時間在宅療養支援診療所ですから責任は重大ですが、一人医師でありつつも、周りのスタッフ(看護師)や地域連携施設の方々に支えられながら、健康も守られ、診療所の名のとおり「いきいき」と仕事をしています。
昨今、開業志向の医師が増え、勤務医がどんどん減っていく状況にあります。
医局の崩壊、当直医の不足と過酷な勤務・・・勤務医は大変だし給料も少ない、開業すれば楽にお金が稼げるという構図が一般的で、これを求めて、“お金儲けのために開業する!”という医師も残念なことに多いのが現状です。
おそらくこのような目的だけで開業されても、地域に信頼され、地域に根差したクリニックにはなれないと思います。
いきいきクリニックは24時間在宅療養支援診療所で、私やクリニックのスタッフはクリニックの上に住んでいます。何かあれば、すぐに患者さんの元に駆けつけます。夜遅く、診てもらいたいと、自宅の呼び鈴を鳴らしてくる方もおられます。
一開業医として、地域に住み、地域の方のために仕えていくことは、とても大切なことであり、責務だと感じております。残念ながら病院勤務医時代は、地域への責務ということまで考えられませんでしたが、開業してはじめて、地域を支えているのだと実感でき、これが開業医の醍醐味だと感じました。
また一クリニックだけで在宅医療を提供していくのではなく、地域の訪問看護師さんやケアマネージャーさん、薬剤師さんと共にチームを組む必要があり、このことを通して多くの仲間を得ることができたのも、感謝なことです。
呼吸ケアのニーズがありながらも、呼吸ケアが全く行き届いていない地域での開業でした。
ひとつのクリニックでやっていくのではなく、地域全体での質的向上が必要と考え、現在は毎月、地域の訪問看護師さんやケアマネージャーさん、PT、OTを招いて、呼吸ケアに関する学習会を開催しています。
これによりコミュニケーションが深まるとともに自然と地域連携体制が構築されつつあり、地域の呼吸ケアの質も徐々に向上しています。今では毎月50名から70名の方が参加しています。
今度は「在宅から大病院まで、質の高い呼吸ケアが継続して行えるように」、というのが当面の課題です。
今年度の医師会の学術集会では在宅医療の現状を報告し、どんどん地域に発信していければと思っております。
また将来的には自院でPT、OTを採用し、質の高い在宅での呼吸リハビリテーションを地域の皆様に提供していくことがわたしのいまのVisionです。