ホルター心電計 -臨床応用への道-
臨床応用への展開
1984年(昭59)フクダ電子は新発想のSCM-270を完成。このシステムは研究用ではなく、あくまで、効率的に臨床に使える日本独自のものを目指していました。
基本方針としては 再生機能と医師の判定を分ける。
再生処理はあくまで高速・全自動として、先生方の手間をかけない。
判定は先生方が都合のよい時間に一括判定できるように見易いデータを作成する。
1人3-4時間、専門医がかかりつけで判定しなければならない従来のシステムを払拭する狙いで開発されたものでありました。
そして、全波形の圧縮記録に瞬時心拍とSTレベルのトレンドグラムが共通の時間軸に記録されて、判定に必要なデータが見易く提供できるフォーマットが完成致しました。120倍速、24時間のデータをわずか12分で無人化で再生するシステムが実現したわけです。これには、永年、試行錯誤して、研究してきたホルターの周辺技術とME機器の記録装置として開発されてきたサーマル・レコーダーの技術が大きく寄与しています。
その後、開発が進展し、それまで記録が難しいとされてきたスーパーインポーズ波形(波形の重ね書き)を一定時間毎の波形の変化として記録することが可能になりました。これで、瞬時心拍で不整脈をスクリーニングして、右欄の全波形で確認。STトレンド、スーパーインポーズでSTの変化をみることができて、より精度の高い情報を、早く、簡便に得ることができるようになりました。1980年(昭55)の診療報酬改定でホルター検査は1500点に改正されました。
このように、簡便に有効な情報が得られるようになり、検査の有効性が認知されたホルター検査は一挙に臨床に応用されるようになりました。その意味では、SCM-270はホルターの流れを変えたエポックメーキングの機器であるといえます。
臨床化を進めた画期的フォーマット