心電計物語 -熱き憶い出-
心電計の天敵
交流電源式の問題点は交流電源の安定化と交流障害による交流雑音の除去が問題でした。特に、交流雑音は心電計の天敵ともいえるもので雑音を排除しながら、いかに正確な心電図波形をとりだすかが最大の課題でした。これは交流雑音を打ち消し合う差動増幅器の開発、高性能ハムフィルターの開発で解決しています。 先生方も心電図を撮る時に、ハム、ムスケル(筋電図)、ドリフト(基線動揺)でご苦労なさった経験が多々おありかとおもいます。シールドシートを敷いたり、ベットの位置を変えたり、不安がる患者を落ち付かしたりして、やっと撮れるといった状態でした。 ある時には、ノイズがなかなか取れないので調べてみたら、ペン先が浪花節をうなっていました。結局、放送局の近くで電波が強く、コードを介して電波が乗ってきたということでした。このように心電計の歴史はノイズという天敵との戦いだったともいえます。